2009年6月10日水曜日

芍薬のペオニフロリンとHSP

「芍薬の主成分」をネットで索引したら、富山大学の薬学部はよく出てきます。最近よく耳にした熱ショック蛋白質(HSP)と芍薬の主成分の関連に関する研究も富山大学で行なわれています。まず、「HSP」は何のものかと気になりますよね!http://www.reform-aqa.com/onnetsu/m_03-07hsp.htmから素人でも分かりやすい解説を見つけましたので、引用させて紹介します。
熱ショック・タンパク質(HSP)
熱ショック・タンパク質(HSP:ヒート・ショック・プロテイン)と呼ばれる一群のタンパク質は、熱ストレスや精神的なストレスなどによる誘導だけではなく、一部は常時細胞内に存在して、生命現象を行う種々のタンパク質の新生時から正しい立体構造形成、輸送、そして分解までの面倒を見るタンパク質の「品質管理役」、なくてはならない「介助役=シャペロン」のタンパク質群です。


それでは、本題に戻ります。富山大学の研究内容は次のとおりです。
hppt://www।sugitani.u-toyama.ac.jp/coe/jp/から引用~
1.研究期間:平成18年3月現在
2.発表者:ツシディディス L.サルンガ
3.所属:医学部放射線基礎学講座担当教官近藤 隆研究
4.課題:芍薬の主成分であるペオニフロリンによる遺伝子発現変化研究成果1)背景と目的芍薬の主成分であるペオニフロリンで培養細胞を処理すると熱ショック蛋白質(HSP)が誘導することが報告された。HSPはストレス応答蛋白質として知られ、近年は分子シャペロンとしての機能が注目され、細胞内での蛋白質の品質保持に重要な役割を担っていることが判明している。本研究ではペオニフロリンがHSP誘導する際に関係する遺伝子群に注目して、GeneChipで解析を行った.2)結果と考察細胞としてヒトリンパ腫細胞株U937を用いた。その結果、変化量は少ないが,発現レベルが高く,明らかに変動していると考えられる増加遺伝子として、 chemokine (C-C motif) ligand(CCL2)、ferritin, heavy polypeptide 1, (Ferritin HP1)、およびmetallothionein 2A、減少遺伝子として、proteinase 3、membrane-spanning 4-domains, subfamily A, member 3(MS4DA3)、およびplacenta-specific 8 が同定された。HSP誘導の対象として用いた温熱処理時と比較したが、温熱では非常に多くの遺伝子が変動した。尚、ペオニフロリン処理細胞のGeneChip解析では検出できなかったが、HSP関連遺伝子として、HSP701B, HSP40, およびHSP70A6について、リアルタイム定量的PCRにより調べたところ、3者とも約50%程度の発現上昇を認めた。3)論文・発表投稿予定4)今後の展望本研究は、芍薬の主成分であるペオニフロリンによる遺伝子発現変化を、世界で初めて示したもので、化学的HSP誘導因子であるペオニフロリンは温熱に比較して、遺伝子発現に選択性があることが示唆された。

勉強不足で分かりやすく説明ができません。興味のある方にご参考なれば幸いです。

2009年6月1日月曜日

芍薬の主成分の構造を決めたのは~

本当に運がよくて、たまたまある元薬学部長のブログを発見し、次の内容の文書を拝読することができました。なんと芍薬らしい女性が芍薬の主成分の構造を解明しました~素敵!!ついつい彼女のことが知りたくなりました。是非、この作品を皆さんに紹介したいと思って、引用させていただきました。
芍薬の君・ペオニフロイラインhttp://www2.incl.ne.jp/~horikosi/No165.htm 
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。これは女性を形容した喩えです。芍薬も牡丹も英語で peony といいます。 blush like a peony と言えば「顔を赤らめる」の意味で、芍薬も牡丹も赤いのが普通のようですが、漢方で根を使う芍薬は花が白かったように覚えています。今回は芍薬にまつわる少々砕けたお話をさせて頂きます。 時は今から四十数年前、昭和二十年代の後半、筆者が大学生になって間もない頃。大学の校内に寮があって、そこから講義棟に向かうある朝のこと。当時は大学の校内を近道として使う近隣の生徒をよく見かけました。ある朝、同室の友人と講義棟に向かう途中、中学生と思しき日本人形のような可愛らしい女性とすれ違いました。戦後間もなくのことで男女平等とは言え、大学に入学してくる女性の数は極めて少なく一学年二千人のなかで、八十人程だった時代です。その頃、田舎者の寮生達の使う日常語に「シャンなメッチェン」という言葉がありました。友人が言いました。「あれー。あの子!大学のバッチつけてる!」これが芍薬の君との最初の出会いでした。 それから、一年半が過ぎ、学部・学科別の編成があり、定員三十五人の薬学科クラスが出来て、全員同じ講義を聴くことになりました。その中に女性が五人おりました。当時としては驚異的な高比率です。そして、その中に芍薬の君がいたのです。理系の女性が選ぶ進学先は薬学が当時から魅了ある分野だったかも知れません。 昭和三十年代初めまでは、大学を出ても就職先の少ない時代で、自衛隊の薬剤官になった先輩もおりました。先生方からは「健康な者は企業へ行け」。「大学院へ行ったって高校の教師しか口はないぞ」と脅かされたものです。芍薬の君は先輩のアドバイスに迷うことなく大学院に進み、指導教官の先生からお嫁に行けと言われても黙々と、悪臭漂う研究室に閉じこもって実験していたように思います。やがて芍薬の君も姓が変わりました。 それから数十年が過ぎて、ごく最近、筆者は和漢研の先生から、芍薬の主成分ペオニフロリンは彼女が構造を決めたと聞かされました。現在なら植物成分の構造決定など、二次元のNMRを使えば難なくできるものの、当時はIR(赤外)すら中央の分析センターに一台がやっとで、NMRに至っては原始的な装置が国内の何処かに初めてお目見えした頃です。測定器といえば可視に紫外の分光光度計、融点・元素分析と旋光度くらいで、確認のための全合成をして初めて構造が認められた時代です。 数年前から始まったクラス会で、彼女にそのことを伺ったところ「そーよ」との返事。その瞬間に筆者の脳裏に閃いたのは、ペオニフロリンは peony と fraulein から来たものと合点致しました。しかし、スペルは芍薬の Peonia lactiflora Pallas に由来する Peoniflorin で、残念ながら「 l 」と「 r」とが違っていて、Peonyfrolin ではありませんでした。筆者は、芍薬の成分を記載する機会があったら、彼翌フ偉業を称える意味で、あえてLとRを間違えることにしております!」